2025/2/20現時点でのタケルライコのデッキ概要と、環境デッキとタケルライコとの相性、立ち位置について考察する。
福岡CL結果より、環境デッキをタケルライコ、ドラパルト、サーフゴー、リザードン、テラスタルバレット、Nのゾロアークex、ミロカロスex+リキキリンex、オーダイル、ブリジュラすex、ヤドキング、ソウブレイズexとして、これらに絞って考察していく。
デッキ概要
タケルライコのきょくらいごうによる大ダメージが特徴的なデッキ。タケルライコ自体は「オーリム博士の気迫」+手張りで攻撃するためのエネルギー要求を満たすことができ、緑オーガポンの特性により場にエネルギーの数を増やし、場に溜まったエネルギーをトラッシュすることで高火力を毎ターン出すことが可能。最近はゼロの大空洞とヨルノズクを組み込んだデッキタイプが流行っており、ヨルノズクの特性「ほうせきさがし」によって、テラスタルが場にいれば好きなトレーナーズを2枚手札に加えることができるので、2ターン目から必要札を揃え、大ダメージを与えることが可能。
理想のゲームプランとしては、先行2ターン目あるいは後攻1ターン目から最速でサイドを2-2-2で取って勝つことだが、相手が非エク(サイドを1枚しか取られない)ポケモンをバトル場に出してきた際は、同時採用されるスピンロトムが強力である。スタジアムがあることが条件ではあるが、「とつげきランディング」で1エネルギーで70ダメージを出すことができる。2進化前のたねポケモンや後述のスボミーをワンパンすることができ、サイドを1枚しか取られないアタッカーとして機能するので、1-2-2-2プランでも速度的に負けず、勝ちを狙うことができるデッ。
・デッキを回す際の注意点
タケルライコが毎ターンエネルギーをトラッシュするため、リソースが枯渇しないことを念頭において立ち回る必要がある。具体的にはタケルライコが毎ターン攻撃できるようにエネルギーを1枚残したり、オーリム博士の気迫を毎ターン使える状態を維持すること、緑オーガポンを枯渇させないこと、ヨルノズクを序盤に使い切らないこと、キチキギスなどのドローソースを維持すること、エネルギー回収を使いすぎずトラッシュしたエネルギーを回収する体制を整えておくことなど。
もう一つはオーリム博士の気迫を使う場面が多い関係上、ボスの指令など他のサポートを打てないことが多い。これを解消するために、オーリム博士の気迫を使わなくて良いよう、次の番に倒されなさそうであればタケルライコに1枚エネルギーを残しておくなど、状況に応じた立ち回りが必要になる。技を打つためにオーリム博士の気迫が必要であること、毎ターンサイドを2枚取りたいというデッキコンセプトから、裏のexポケモンを呼び出す札としてACE SPECにはプライムキャッチャーが採用されることが多い。
また、スボミーの登場により最近は2ターン目以降にグッズが使えず、大地の器やネストボールなどが使えないことから、思うように場にエネルギーを供給できない場面が増えている。グッズを使わなくてもデッキから2枚エネルギーをつけることが可能なサポートのアカマツ、1エネルギーでスボミーを倒せるスピンロトムの重要性が増していると感じる。またリーリエのピッピexの登場によりサーナイトが強化され、さらにリーリエのピッピexを採用しているテラスタルバレットデッキが台頭し、タケルライコのワンパンが容易になったことや、コントロール系のデッキであるリキキリンEX、オーダイルの台頭によりタケルライコにとっては向かい風な環境といった印象。
・タケルライコの対策デッキ
大きく3つの方向性が考えられる。
①非エク(サイドを1枚しか取られないポケモン)メインで攻めるデッキ
サイドを1枚しか取られないアタッカーメインで攻めることで、タケルライコ側はこちらのサイドを1枚しか取れず、こちらは相手の場に並んだタケルライコやオーガポン、キチキギス、イキリンコなどexポケモン達を毎ターン倒すことでサイドレースで勝つ方法。
このプランが取れるデッキタイプとしては、リーリエのピッピ採用によりタケルライコのワンパンが容易になったサーナイトex、レジギガスやローブシンの技を使用できるヤドキングなどが挙げられる。
②exポケモンでタケルライコより先にサイドを取り、サイド2-2-2のプランを取れるデッキ
先行2ターン目、あるいは後攻1ターン目から相手のタケルライコをワンパンできるexポケモンで戦う。先にタケルライコ側にサイド2枚取られると遅れを取るが、終盤にナンジャモ+ボスorカウンターキャッチャーで裏のキチキギスを倒すなどして相手の手札を枯渇させ、こちらのポケモンを倒されないターンを作る、あるいは非エクポケモンをはさむことで2-1-2-2のサイドプランを押し付け、巻き返すことは可能。
このプランが取れるデッキタイプとしては同じ青天井デッキのサーフゴーex、竜タイプを弱点にすることができるリーリエのピッピexを採用したテラスタルバレット、ソウブレイズexデッキなどがある。これらのデッキとは速度勝負になるので、対策デッキというよりかは相性が5分、といったところか。
③相手の動きを妨害する特性を持ったポケモンを軸に戦うデッキ
exたねポケモンであるタケルライコから技のダメージを受けないポケモンを軸に戦うことで、相手に想定していた動きをさせず勝つことを目指す。
具体的にはリキキリンex、ミミッキュなどだが、これらのポケモンを使うことで、タケルライコ側に対策札が無ければアタッカーはスピンロトムやヨルノズクくらいしか選択肢がなくなるので、タケルライコ側は苦戦を強いられる。このような妨害系デッキとしてはミロカロスex+リキキリンexデッキ、オーダイルデッキなどがある。
タケルライコが5分〜有利を取れるデッキ
①ドラパルトデッキ△
ドラパルト側が上手く立ち回ることができれば相性は5分と考える。ドラパルトがカーストボムを絡める以外でタケルライコを1撃で倒す手段を持っておらず、毎ターン、タケルライコ側に理想的な動きを取られるとドラパルト側が不利を取る場面が多い印象。ただ、スボミーの登場によりゲーム展開が遅くなりつつある昨今では、ドラパルト側がドロンチを場に潤沢に揃えてドローソースを確保する余裕があるので、手札干渉を多めに絡めてタケルライコ側に理想的な動きをさせずに、ドラパルトによるダメカンばらまき+ヨノワールによって一気にサイドを複数枚とって勝つといった戦法が可能。サイドを終盤に一気取りすることで、序盤にキチキギスを使わせないターンを作ることもできる。また、あえてサイドをタケルライコに先行させる戦い方になるので、カウンターキャッチャーの使用が可能であるため、裏のキチキギスやラティアス、イキリンコなど、ダメカンをいくつか載せておくことによって終盤のボスの指令やカウンターキャッチャー→ファントムダイブや、ヨノワールのカーストボムで倒せるexポケモンは多く、練度は必要ですが立ち回り次第で十分ドラパルト側が勝てると思う。
②大空洞リザードンexデッキ△
相性は5分と考える。緑オーガポンがリザードンexの弱点を突いてくるのと、序盤はリザードンデッキ側がタケルライコをワンパンする手段がなく、勇気のおまもりによるHPラインの変動もあるので、リザードン視点で難しい対面となりがち。リザードン側の立ち回りとしては、序盤はピジョットやヨルノズクで場を整えて、まずはこちらのたねポケモンを倒させたり、ヨノワールでサイドを1枚取らせてからリザードンexでHP210であるオーガポンから倒していき、ナンジャモやアンフェアスタンプ等を積極的に絡めて相手の手札を枯渇させ妨害することでサイドを取らせないターンを作る、あるいは相手に1-2-2-2プランを押し付け、中盤からタケルライコをワンパンしていくことでサイドレースに勝つことが可能となる。タケルライコはスボミーを採用していない型が多いので、リザードン側の動きが妨害されにくいといった利点がある。また、リザードン側はピジョットのマッハサーチで好きなタイミングでブライアを持ってくることができるので、タケルライコ側がサイド2-2-2プランで先行されたとしてもヨノワールを絡めてサイド4枚どりで逆転できる可能性も。
③Nのゾロアークexデッキ⚪
タケルライコが有利な対面と考える。Nのゾロアーク側はタケルライコをワンパンする手段を序盤から終盤まで持っていない。対してタケルライコ側はNのゾロアークを毎ターン倒すことが可能なので、厳しい戦いを強いられるだろう。Nのゾロアークのとりひきでドローソースは潤沢にあるので、サイドを先行されて以降にナンジャモやアンフェアスタンプで相手の動きを制限しつつ、ヒヒダルマのひだるまキャノン、レシラムのイノセントフレイムで2ターン以上かけてサイドを複数枚取っていく戦法で勝機を見出す形になる。
④ブリジュラスexデッキ⚪
タケルライコが有利な対面と考える。ブリジュラス側がタケルライコをワンパンする手段は、ホップのポケモンを採用している場合はホップのザシアンしかいない。ナンジャモを絡めて相手のリソースを枯渇させていく、ホップのウッウやカビゴンなどの非エクを絡めて最速負けを防ぎ、裏のキチキギスなどをブリジュラスで取っていく戦法になるかと思われる。実質ボスの司令として機能するホップのバイウールーが、裏呼びとしてブリジュラス側の有効札になり得る。
・まとめ:今後のタケルライコの動向予想
福岡CLでは前評判とは異なりミロカロス、リキキリンやオーダイルなどのコントロール系のデッキが上位に多く入賞し、それらに不利をとるタケルライコはベスト16に1人しかおらず、厳しい環境だった。今後の大会ではそれらの対策となりうるオーガポンいしずえの面exやイダイナキバexの採用が増えてくるものと思われ、またダイゴのメタグロスやシロナのガブリアスなど、HPラインが400にもなるポケモンの登場が控えており、ワンパンに必要なエネルギー数が多くなり、向かい風の状況は続きそうだ。ただデッキ自体のパワーが非常に高いことに変わりはないので、環境から消えることはないだろう。